December 29, 2010

『ロンドン10日間ツアー(3日目)』 サポーターと選手の関係


今日はWigan(ウィガン)という街までCoach(コーチ)(こちらでは長距離移動用の車両(バス)をCoach(コーチ)と呼ぶ)で行きArsenal戦を観戦する。

Coach(コーチ)はEmiratesスタジアムのすく脇の通りから出る。ArsenalがAway観戦のサポーターに用意したものだ。
Wigan(ウィガン)まではCoach(コーチ)で約5時間。長丁場だ。
日本でもバスに乗って5時間移動なんて経験は滅多に無い。

Coach(コーチ)の出発時間は12:30。
まだ出発時間の30分くらい前だったが、乗り場の確認のために集合場所に行ってみる。
驚いた事に、沢山のサポーターが既に集まりバスに乗り込んでいる。
イングランドのFootballサポーターはキックオフぎりぎりまでスタジアムの売店の周りでビールをカッ食らっている。そんなシーンが頭にこびり付いていたため、きっとCoach(コーチ)の発車間際じゃないとサポーターも集まらないと勝手に決めつけていた。
(どうしよう・・・)
この出発場所はArsenal Shopのすぐ近く。
乗り場の確認だけ済ませ、発車時間まではArsenal Shopで買い物でも・・・と思っていた。
(とりあえず聞いてみよう)

「あのぉ、Coach(コーチ)ってまだ出ないですよね?」
「Wigan(ウィガン)に行くのか?」
「はい、これがCoachの券です。」
Coachの前に立っていたデカイおじさんにCoachの券を見せる。
「(Coachの)中で名前を言って。」
“デカイおじさん”はCoachの中を指差す。
Coachに乗り、違うおじさんに券を差し出す。
“違うおじさん”は、おもむろに名簿を取り出し、券に書いてある名前をチェックしようと名簿に書いてある名前を追う。
「名前は?」
券に書いてあるだろ?と思ったが、「Hanai(ハナイ)、エイチ・エー・エヌ・エー・アイ」と答える。
私の発音が悪いのか、“違うおじさん”は中々私の名前を探し出せない。
「これ(here)」
差し出がましいと思ったが、名簿に載っていた自分の名前を私が先に見つけたので指差してみた。
「オー」
「それでどこに座る?こことここは女性が座る、予約席だ。ここ以外ならどこでもいいよ。」
蛍光ペンで私の名前をチェックしながら、空いている席を指差す。

私と妻は真ん中あたりの席をチョイス。
とりあえずその席に腰を下ろす。

まだ出発まで30分ある。
その30分で何かArsenal Shopで買い物をと思っていたのに・・・。
次々にサポーターが乗り込んでくる。
皆、Arsenalのグッズを身に付けている。
ジャケット、マフラー、ユニフォーム、帽子・・・。
妻と私は今日は何も身に付けていない。
「ねぇ、何かArsenalの物買わなくていいの?」
妻も気になったのか私に尋ねる。
「いいよ、今日は何も買わなくても」
もう席に座ってしまった。
“違うおじさん”や“デカイおじさん”にいちいち断りを入れてArsenal Shopに行くのも面倒だ。

Coachは12:30きっかりに出発した。
これから5時間の旅が始まる(実際は6時間かかった)。


<Away用のCoach(コーチ)>


<Coach内(“デカイおじさん”と“違うおじさん”>

途中、Coachの中で『End of Days』とうDVD(映画)が流される。
オカルトチックな映画だ。
退屈なので最初のうちは画面を見ていたが“筋”がちっとも分からない。
隣では妻がぐっすり眠っている。
余計な物は一切持ってこなかったため、何もする事が無い。全く退屈だ!
映画を見るのを諦め、外の風景を見つめる。
高速に乗ると、外の風景は牧草地ばかりになる。広大な土地が牧草地として、羊や牛の飼育に使われている。
(何で、農地に使って野菜を育てないんだろう・・・。土地利用の効率化からいったら、絶対農地にした方がいいのに。)
根拠も無いのに、そんな事を考えながら時間をつぶす。

出発から4時間後、サービスエリアで45分の休憩を取る。
キングバーガーでチキンバーガーとポテト、コーラのセットを注文。
妻と一人分を分け合う。こんな量を一人で食べるなんてとても無理だ。

(あとどれくらいかかるんだろう・・・。1時間くらいで着くはずなんだけどなぁ。)
チキンバーガーを食べたあと、サービスエリアの外で一服しながらぼんやりと考えてると、Liverpool(リバプール)のサポーターが次々にサービスエリアに入ってくる。この寒いのに、みな半袖のLiverpoolのユニを着ている。
(こんな寒いのに、何で半袖なの・・・。)
今日はArsealの物は何も身に付けていないので、Liverpoolサポを見つめていても、何も言われる心配は無い。
(この近くでLiverpool戦*があるんだろう・・・。Liverpool今シーズン調子悪いから、こいつら機嫌悪いんだろうなぁ。)
*休憩に寄ったサービスエリアはLiverpoolのサービスエリアでした!

やっとWIigan(ウィガン)に到着した。Emiratesスタジアムを出てから6時間。
長かった。
4年前にSheffield(シェフィールド)という街へCoach(コーチ)で観戦に出かけた時は、街に入ってからスタジアムに着くまで白バイ隊に先導された。
Coach(コーチ)をおりる際も「余計な事をせぬよう」地元の警官から注意があった。
その時と比べると、今回はやけにあっけない。
Awayサポーター用のパーキングでCoach(コーチ)を降り、あとはスタジアムまで各自歩く(それでも、駐車場はAwayサポーター用とHomeサポーター用に完全に別れていた)。

スタジアムに入る前に一服していると(スタジアムの中は2〜3年前から完全禁煙になったようだ)、目の前をごっついバスがゆっくり通り過ぎていく。
ゆっくり走るバスをArsenalのサポーター達が追っかける。
(Arsenalの選手達が乗ったバスに違いない・・・)
私も妻とともにバスを追っかける。
40歳を過ぎて馬鹿げた事だが、追っかけずにいられない。

バスが停まったあたりには、大勢のサポーター達がいて既にバスを取り囲んでいる。
(さっきまで、まばらだったのに・・・、どこから来たんだ?)
熱心なサポーターは、当たり前の事だが、よく知っている。
いつ頃、どこに、Arsenalの選手達が到着するか。

バスを取り囲んだサポータ達のチャント(応援歌)が始まる。

And it's Arsenal,
Arsenal FC,
We're by far the greatest team,
The world has ever seen....

(アーセナル、世界で最も偉大なチーム・・・)


人だかりでよく見えないがArsenalの選手達がバスから降りだしたようだ。
選手の登場に合わせて歓声と雄叫びが上がる。
私も何も見えないがサポータ達の歓声に合わせて、歓声を上げる・・・。(?)
“入り待ち”、たまんねぇな!
初めてArsenalの“入り待ち”をした時の事を思い出す。
何でこんな事に心ときめくのか・・・、自分でも不思議だ・・・。

スタジアムに入り自分たちのシートを確認し、試合前の腹ごしらえの為に売店へ。
“Wigan Pie(ウィガン・パイ)”と書いてあったパイとコーヒーを買ってシートで待っている妻の元へ。
「“ウィガン・パイ”って書いてあったから、パイ買ってきた。食べる?」
「私、パイ嫌いなの。要らない。」
妻の素っ気ない返事。
「お前、パイ嫌いなの?」
「うん、嫌い。」
(パイが嫌いだなんて、結婚して20年以上たつのに初めて聞いたぞ・・・)
「本当に要らないの?」
「要らない。」
妻は何だか機嫌が悪いようだ。
きっと6時間もかけて、はるばるこんな所にやって来た馬鹿らしさにようやく気が付いたんだろう。無理もない、俺もそう思う、今はそっとしておこう。

試合が始まった。
今日はAway用のスタンド。ゴール裏だ。
ゴール裏の応援はとっても過激。
ひっきりなしに続くチャント(応援歌)とWigan(ウィガン)サポーターを挑発する歌の連続。
う〜ん、戦う集団って感じ、この感じがたまんない!

Koscielny(コシェルニー)が相手選手を引っ掛けてペナルティーを取られる。
引っ掛けたのは我々の目の前。確かに後ろ足で引っ掛けていた。
ペナルティーを決められ1-0。
なんてこった・・・、先制点を取られるとめっきり弱いArsenal。
今日は先発メンバーも大幅に落として戦っている。中々攻めきれていない。

攻めきれないなぁ・・・と思っていたら、Arshavin(アルシャビン)とBendtner(ベントナー)のコンビが立て続けに素晴らしいゴールを決める。
あっという間に1-2に。
おー!ゴール裏は大騒ぎ!

後半に入ってもペースはArsenal。
コーナーキックからChamakh(シャマク)がフリーでヘディング。決まらず・・・。
Arshavin(アルシャビン)がゴール前に抜け出しGKと一対一に。決まらず・・・。
そんな事やってると、いつか追いつかれるぞ・・・、心配だ。

ボールと関係が無い所で両チームの選手が集まり何か始まった。乱闘だ。
何が起こったのかここからでは分からないが、Wigan(ウィガン)の選手が一人退場になった。
何だか分かんないが、相手は一人減った。ラッキー!このまま逃げ切ってくれ。

そう思っていたら、何とコーナーキックから1点を返される。
どうやらSqullachi(スキラッチ)オウンゴールのようだ。
2-2。

全く何やってんだ・・・。
またセットプレーからの失点。
一体、お前らいつ学習するんだ?また、セットプレーから失点か・・・。
怒りが収まらない。
Wigan(ウィガン)のサポーターが我々に向けて罵りの歌を始める。
我々の後ろに陣取っていた危険な男達が汚い言葉で何か叫び続けている。
私も椅子か何かを蹴っ飛ばしたい衝動に駆られる。

あと10分。何とかしてくれ・・・。
でも、こうなったらArsenalはめっきり弱い。
予想通り、10人の相手を攻めきれず、The End.
引き分け。
情けない・・・、勝てた試合なのに。

後ろの“危険な男達”は未だ罵り続けている。
無理もない、俺も同じ気持ちだよ・・・。
隣で妻が「あの人達、ずっと汚い言葉で叫んでる。(嫌ね。)」と私につぶやく。
「俺も同じ気持ちだよ・・・。」


Nasri(ナスリ)が、我々が陣取るスタンドまでやって来た。
珍しい光景だ。
日本では、Awayまで応援に来てくれたサポーターに選手達が挨拶に来る事があるが、イングランドではスタンドまでやって来る選手はあまりいない。
Nasri(ナスリ)は我々に頭を下げ、自分のユニフォームを脱ぐと、そのユニフォームをスタンドに投げ入れた。
Nasri(ナスリ)のしゃれた計らいに、少し怒りが静まる。
皆がNasri(ナスリ)のチャント(応援歌)で、Nasri(ナスリ)の計らいのお礼をする。

確か昨シーズン、Wigan(ウィガン)がTottenham(トッテナム)とのAway戦で、1-9という信じられないスコアで負けた事があった。
当然、Wigan(ウィガン)からLondon(ロンドン)まではるばる応援に来たWigan(ウィガン)サポーターの怒りは収まらない(Coach(コーチ)で6時間もかかる!)。
怒りが収まらないサポーターに、Wigan(ウィガン)の選手達も深く反省し、何と!この日Away観戦したサポーター達のチケット代金を選手達が全て負担したらしい。
何と、いさぎよい計らいか!


それに比べたら、今日は引き分け。
Nasri(ナスリ)は、我々に頭を下げ、自分のユニフォームを我々のスタンドに投げ入れてくれた。
十分だ、我慢する事にしよう。

サポーターと選手の関係。
この国のFootballは、それが本当に“微妙”なバランスで成り立っている。

London(ロンドン)に戻ったのは夜中の3時頃。
タクシーを拾ってホテルへ。
London(ロンドン)3日目、戦いは未だ続く・・・。


Arsenal Number 7/hanai


Posted by hanai at 06:50:00 | from category:  Arsenal | TrackBacks
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