January 03, 2006

[最後のHighbury観戦ツアー]　第四日目（12月30日） パリ日帰りランチ大作戦 （後編）


目的のレストランの名前は"CAFE DES FAUSSAIRES"。ここが本作戦の主戦場となる。
このレストランは、会社のスタッフが「カジュアルであまり高くなく、料理が美味しいパリ市内の店」を探してくれというリクエストをパリ事務所のスタッフに出し、パリ事務所のスタッフがリストアップしてくれた店。パリ事務所からは店の名前と住所が、最寄の地下鉄駅名とともにメールで送られてきた。
メールによるとレストランはルーブル美術館の近くにあるようだ。


我々の乗ったユーロ・スターがパリ北駅に着いたのは12時少し過ぎ。
ユーロ・スターの旅ではイギリスとフランスの長閑（のどか）な田園風景が楽しめると紹介されていたが、イギリス側もフランス側も雪のため、窓の外の景色は白一色で何の変化も無い風景が続く。
おまけにパリ北駅も雪。
私は何の根拠も無く、パリはロンドンより暖かいと思うよと妻に言っていたが、今日のパリは吹雪に近い天気。ロンドンより格段に寒い！

こんな"吹雪"の中、地下鉄に乗ってレストランを探すのは無理と判断。タクシー乗り場に並ぶことにする。
天気が悪いのでタクシー乗り場は人であふれている。
タクシーの順番を待つ間、「英語が通じるタクシーに当たりますように。」、「親切なドライバーが運転するタクシーに当たりますように。」と祈り続ける。
待つこと約20分。我々の順番がやって来た。

「ハロー、私はフランス語が全く話せません。ここへ行きたいんですが・・・。」
と言って、パリ事務所から送られてきたメールをドライバーに手渡す。
「それで分りますか？」
「・・・」
ドライバーは黙ったまま、じっとメールの文面を見つめる・・・。*メールの文面はフランス語
「それで分りますか？レストランなんですけど・・・。」
「Okay, no problem.（分るよ、問題ない）」
よっしゃっ！これで作戦の80％は成功だ！

黒人ドライバーは黙ったままタクシーを走らせる。
くねくねとした裏道を10分くらい走ったところで、右手にルーブル美術館と思しき建物が見えてくる。
多分もう直ぐだ・・・。
タクシーが速度を落とす。ドライバーが右側の窓の方に身を乗り出し、通りに面する店の名前を一軒一軒確認しだす。
「Here. （ここだよ）」
黒人ドライバーが我々の方に振り返り、店を指差す。

CAFE DES FAUSSAIRES
Cafe

うん、ここだ！
「メルシー！」
私が唯一知っているフランス語で黒人ドライバーにお礼を言い、料金を支払ってタクシーを降りる。
レストランの外観はこじんまりとして暖かな雰囲気。これだよ！これ！
店の扉を開け、一点の迷いも無く店の中に足を踏み入れる。

「ハロー、マダム、私はフランス語が全く話せません。」
まず店の女の人に声を掛ける。
「いいですよ。お食事ですか？お飲み物ですか？」
キュートなウェイトレスが笑顔で答えてくれる。
「何か食べたいんですが・・・」
「はい、こちらがアラカルト（単品）のメニューになります。こちらが今日のランチセット（日替り）メニューです。」
もちろんランチセット（日替り）で決まり！
「ランチセットでお願いします。」
「ランチセットは前菜が2つ、メインが2つ（魚か肉）からの選択になります。どちらにしますか？」
「私達二人なので、前菜もメインも別々なものをください。」
「はい、分りました。」

英語の説明が途中から何度もフランス語に変わってしまい、その度に「Oh...」とうつむき、恥ずかしそうに英語で説明し直してくれる、本当にキュートな女性だ。私がフランス人だったら「いいよ、気にしなくて」と言いながらハグしてあげるんだけどなぁ・・・。

girl
[キュートで優しい女性でした]

そしてランチは以下のような品々。

Startup
[前菜]

Main
[メイン]

Desert
[デザート]

Espresso
[エスプレッソ] *エスプレッソに夢中になってしまいました

おー、大満足。
ゆっくり時間をかけて食事が出来て、店の雰囲気も最高だ。
この店に来る人は常連客が多いようで、その人達を見ているだけでも結構楽しい。何といってもあたりから聞こえてくるフランス語の響きが素晴らしい。
よーし、これでパリでの任務は終了だ！あとはロンドンに帰還するのみ！

しかし時計の針は15時を少し回ったところ。
ユーロ・スターのパリ北駅出発は20時12分。我々にはパリ滞在に残された時間がまだ4時間以上も有る。
私も妻もパリは初めて。
よし、作戦に凱旋門、エッフェル塔観光も付け加えよう・・・。
雪はみぞれからほとんど雨に近い状態に変わり、風は強く冷たい。とにかく寒い。所々に雪が残り、あるところは積もった雪が踏み固められ凍り、あるところは水溜りになっている。観光には最悪の条件だ。
しかし、"ランチ作戦"の成功に気を良くした私達は凱旋門とエッフェル塔を目指し、パリの寒空に飛び出すことにする。

雨脚はだんだんと強くなり、傘の無い二人はずぶ濡れ。靴は雨水がしみこみ、歩くのに疲れた脚をいっそう重くする。二人とも無口になり、観光というより"義務感"のみでシャンゼリゼ通りから凱旋門、そしてエッフェル塔を回る。

あたりはすっかり暗くなり、パリとお別れする時間が迫ってきた。
パリ北駅に戻り、早めにユーロ・スターのチェックインを済ませ、1st Class（一等車両）用ラウンジでゆっくり帰りのユーロ・スターの出発を待つことにする。
凍えた二人にはユーロ・スターのラウンジは天国のようだ。JALやANAのラウンジ以上の居心地のよさ。飲み物、食べ物、読む物、あらゆる物がそろっている。おまけにインターネットまで出来ちゃう！

ラウンジの居心地の良さにすっかり有頂天になっていたところに突然のアナウンス・・・。
『本日、ユーロ・スターのサービスは中止します・・・。』

一体俺達どうなるんだ・・・、と思いながらも、とにかく様子を見るしかない・・・。

スタッフに声を荒げて詰め寄る乗客。一般の待合室の方にも人があふれ出し、あたりは不穏な空気が漂い始める。
「暴動でも起きるんじゃない・・・。」と怯える妻を何とかなだめ、次に何が起こるかをただ"待つ"事に腹を決める。

今晩パリに泊まることになったら[パリ日帰りランチ大作戦]は失敗か・・・と思い始めたとき、ストップしていたユーロ・スターが動き出した。時間は22時頃。
私達はその列車に乗ることが出来ず、次の列車に回ることになる。
私達がパリを脱出できたのはそれから約1時間後。時計の針は23時を回っていた。

楽しみにしていたユーロ・スターのディナーも、こんな状況じゃ楽しめない。一体何時にロンドンに着くんだろう・・・。
ユーロ・スターは何度も何度も止まりながらノロノロと走る。全く軽快さが無い。まるで最近のArsenalの調子のようだ・・・。
やっとロンドンに辿り着いたのは夜中の3時半を回ったころだった。

試練は未だ続く・・・。
駅でタクシーの順番を待つこと約1時間・・・。寒い、眠い、横になりたい・・・。
朝の5時頃、ようやくホテルに帰還。

前日は朝の5時半に起きて[パリ日帰りランチ大作戦]を開始した。
そしてホテルへの帰還は翌朝の5時。
行動時間は23時間30分。
ウォー、24時間（1日）まで、まだ30分残っているぞ！
これって日帰り（24時間）をクリアしてますよねぇ？

[パリ日帰りランチ大作戦]は、とりあえず"成功"！

こんな楽しい経験が出来て本当に幸せです。
ありがとうArsenal。ありがとう最後のHighbury!!!

tower
[天気が悪かったのでエッフェル塔はこの写真]

Arsenal Number 7/hanai
Posted by hanai at 20:55:01 | from category: 　Arsenal | TrackBacks
Comments

KeiKan:

うわ〜、すっごい"日帰り"でしたね。
前編を読んだ時には、本当にパリに泊まる
のかと思いましたが、なんとかロンドンに
たどり着けたということですね。ほっ
(*^_^*)

帰りのユーロ・スターがのろのろしていて
も無事に到着できたように、Arsenalも無事
にシーズンを終え、来シーズンからは心機
一転快進撃を見せてくれるといいですね。
でもまだまだあきらめるのは早い！カップ
戦で、意地を見せてくれ！
(January 03, 2006 22:38:39)

Ｔａｎｊａ:

たーにゃでーす。
盛り沢山のパリ日帰り大作戦、かなり笑わせてもらいました(^_^)寒い中お疲れ(？)さまでした。ロンドンのサンドイッチより、やっぱりパリのランチの方が美味しそうですね〜。
時差があるので、ちょうど今頃スタジアムで叫んでるのでは？残りの滞在楽しんで来てください！
(January 03, 2006 23:55:05)

hanai:

KeiKanさん、
ホテルに着いたときは本当にくたくたでした。でもその日の昼にAston Villa戦があったのでゆっくりも出来ず・・・。本当に毎日が忙しいです。でもこんな忙しさなら毎日でもいいぞ！

そうですね、カップ戦期待しましょう！
今からManU戦観戦にHighburyへ出発します！では！
(January 04, 2006 03:10:14)

hanai:

たーにゃ、
いらっしゃいませ！
あけましておめでとうございます。

こちらの食事は量が多すぎて・・・。二人で一人分を頼んで十分おなかが一杯になります。でもパリのランチはすごく美味しかったですよ！

今夜ManU戦を観て、明日の昼にロンドンを発ちます。悲しい！
今夜のManU戦は叫んで、歌って、思いっきり楽しんできます！
(January 04, 2006 03:15:51)

Wadacchi:

Bonsoir M.Hanai,
お帰りなさい　花井さん！
パリのレストラン気に入っていただいてとても嬉しいです。美味しかったんだ〜よかったね。やっぱり現地の人に紹介してもらうと本で探すより失敗は少ないかもね。
フランス人の女性も素敵だった？フランス語なまりの英語って可愛いでしょ？
それではゆっくりまたお話を聞かせてもらいますね。
A Bientot!
Wadacchi
(January 05, 2006 21:35:18)

hanai:

Wadacchi,
そうそう、やっぱり現地の人の情報に限るね！本当にいいレストランでした。

フランスは、女性も男性もどちらも素敵でした。

また行きたーい!!
(January 07, 2006 12:21:32)
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