August 24, 2006

エレベーターの中での戦い「勝者は語らない。微笑むのみ。」


何度かこのブログでも紹介しましたが、私の勤めている会社には熱狂的なマンUサポ、リバポサポ（女性）がいる。
それぞれ部署が違うため、私（Arsenalサポ）とマンUサポそしてリバポサポの3人が一緒に顔を合わせることはめったに無い。

応援するチームは違えど会社の同僚。たまに顔を合わせればきちんと世間並みの挨拶はする（当然ながら）。
しかし…、ひとたび火が付けば互いに容赦はしない…。


マンUサポとは会社帰りの電車の中で一緒にサッカー雑誌を見ていたら、いつの間にか真剣な喧嘩に発展してしまい、周りの乗客のひんしゅくをかった事があった（日本語と英語のチャンポンの変な喧嘩だった）。
昼食時にたまたまエレベータでリバポサポと一緒になり、他の会社の人がエレベータに乗っているにもかかわらず、彼女が鞄につけていたリバプールのキーホルダーの事を大声で罵っていたら、事情を知らない彼女の同僚に「ひどすぎる」と軽蔑された事もある…。

全く大人気ない行為の数々…。反省の日々…。
しかし…、ひとたび火が付くと止められない…。


開幕戦の翌日、私は出勤後身構えていた。
リバプールは引き分けたからいい…、問題なし。問題はマンUだ。5-1の勝利。奴は勝ち誇って朝一番で私の所にやって来るに違いない。
しかし、9時の始業時間が過ぎても"奴"が来ない。一体どうしたんだ？
9時30分。
まだ来ない…。忙しいのかな…。
"奴"が来くればうっとうしいと思うくせに、来るぞ、来るぞと思っているのに"奴"が来ないと、何だか気にになり仕事が手に付かない。
よし、俺の方から出向くか。
10時になったのを確認して"奴"の部署に向かう。
"奴"の姿が見当たらない。
行き先明示版を見ると[AM半休]と書いてある。
（何だ、午前半休か…。ちぇっ、せっかく来てやったのに。忘れよ！仕事、仕事！）

"奴"の事（とサッカー）を忘れて仕事に没頭すること数時間、「hanaiさん、元気？」の声で我にかえる。
（ちぇっ、"奴"だ…。仕事してんのに…）
「うん、元気だよ。エミレーツ綺麗だったし、テオも見れたし、最高の開幕だったよ。良かったね馬鹿勝ちして。リオまで得点したらしいね（リオのOwn Goalを皮肉って）。」

私は自分の言いたいことだけ一通り言った後、"奴"の事を無視。
"奴"は一方的に喋りまくる。
何を言っても私が無視し続けるので"奴"は戦法を変える。
「hanaiさん、うちの会社にChelseaファンがいるの知ってる？」
（うん？Chelseaサポ？知らないなぁ…）
うかつにも一瞬仕事の手を止め誰だ？と考えてみる。
"奴"は私の仕事の手が止まったのを見て、その話題を続ける。
「総務のMさん。彼女、サッカーもやってたんだって。」
「えっ、Mさんが？サッカーって女子サッカー？」
「うん。」
「女子サッカーって、本当の女子サッカー？」
「うん。」
「何でそんな事知ってるの？」
「だって、Mさんがそう言ってた。」
「で、Chelseaファンなの？」
「そう、Chelseaが好きだって言ってた。」

Mさんは、サッカー暦05/06シーズン（西暦2005年）に入社した総務で働く美しい女性。
私が海外出張する時には彼女が航空券と保険の手配をしてくれる。
「はい、これが航空券です。気を付けて行ってきてくださいね。」
とびっきり美しい笑顔で航空券を持ってきてくれる。胸がときめく瞬間だ…。

（うっ…、Mさんが…、Chelseaファンだなんて…。）
私の仕事モードは完全に中断。
「タバコ吸いに行く？」
「うん。」
私の働いているビルは全館禁煙。タバコを吸う時はビルの外で吸わなければならない。
"奴"とサッカーの話をする時は「タバコ吸いに行く？」がお互いの意思の確認行為となっている。

"奴"とエレベータに乗り込もうとすると、偶然そこに話題の"Mさん"が…。
Mさんは美しく気品がある女性だが…、Chelseaファンだと知ったからには容赦は出来ない。
辛いが、ここは先制パンチを放たなければ…。

「何だか匂うなぁ・・・」と私。
「えっ、何か匂いますか？」とMさん。
「うん、何の匂いだ、これ？田舎の匂いかなぁ…。そうそうオールド・トラッフォードって田舎の匂いだ！田舎くせぇ！」
「負け犬。ウァン、ウァン！」とマンU野郎。
このあたりでM嬢はサッカーの話題だと気付く。しかし黙って微笑んでいる。
「田舎の匂い？うん？違うぞ、これ、油の匂いだ！油くせぇ！」
「負け犬。ウァン、ウァン！」
「田舎と油の匂いだ！」
「負け犬。ウァン、ウァン！」
日本語が不自由なマンU野郎は、この手の戦いになると1フレーズを執拗に繰り返す。
「負け犬。ウァン、ウァン！」
別の階から他の会社の人がエレベータに乗り込んでくる。
しかし、戦いは続く…。
「油で高い選手買いまくって…。」
「負け犬。ウァン、ウァン！」
「ウァン、ウァン、うるさいんだよ、お前らも高い金で選手買いまくってポイって捨てるだろ。」
「負け犬。ウァン、ウァン！」
「そうしてみるとArsenalだけだな、まともなのは。まともなサッカーってホントに美しいよ。」
M嬢は相変わらず黙って微笑んでいる。全然我々の相手をしない。
他の乗客は胡散臭そうに私とマンU野郎を見ている。多分、美しい女性に嫌がらせをしている馬鹿オヤジに見えてるんだろう。
「早くコール連れっててよ。お金たくさんあるんだろ？」

エレベータが2階に着いた。ここから喫煙所に向かう。私とマンU野郎はここで降りる。
M嬢は多分1階にある郵便局に行くんだろう。エレベータを出て行く馬鹿オヤジ二人に微笑みながら気品のある会釈をしてエレベータの扉を閉める。

「Chelseaって誰が点入れたの？」とマンU野郎。
「テリーとランパード、ドログバじゃなかったかな…。詳しくは知らない。」
「シェフチェンコとバラックはどうだったの？」
「詳しくは知らないって言ってるだろ。」
「・・・」
「でも、Chelseaかな、今年も…。」と私。
「うちはFAが獲れればいい。」とマンU野郎。
「FAかぁ…。全部Chelseaに持ってかれたらヤバイナ…。どうする…。」
「・・・」

M嬢の微笑みにオヤジ二人は完敗。
エレベータの戦い第一ラウンドはM嬢の完全勝利。Chelsea手強し…。


Arsenal Number 7/hanai
Posted by hanai at 02:52:39 | from category: 　Arsenal | TrackBacks
Comments

london pride:

hanaiさん最高っす！でもヤバくないですか？私のオフィスには生憎というか幸いにというかプレミアを見るような高尚な人物はいません。が、ある日食堂代わりに使っている休憩室の流し台のコップ干し場にある赤と黒のダンダラ模様に９の数字とINZAGHIの文字が入ったマグカップを発見。数日後それでコーヒーを飲む隣の部のうら若きタテロール嬢が「ワールドカップ、イタリア優勝！」などと騒いでいます。よしゃあいいのに、つい「ミランってセリエBに落ちなくて良かったね。さすがに元首相のハナ薬指は効くなあ。」などと言ってしまいました。私の鞄にはArsenalのキーホルダーがぶら下がっており、素性は割れてしまいました。イジワルなオヤジ・・・・私も一言居士の性癖は直りません。
ところでチェルシー負けましたね。
(August 24, 2006 19:55:34)

vivaorange:

うむむ・・・社内でまでプレミア４強が競っているなんて・・・素敵な会社だわ。
うちにはプレミアファンどころかサッカーファンですら見かけません。
今の会社に入った時、「さあ、あたしはアーセナルファン、ベルカンプファンよっ！サッカーファンの方々、恥ずかしがらずに出てくるがいいわ！！」というアピールを込めて、ＰＣディスプレーの上に大先生フィギュアを飾りました。
しかーし！なぜか只のフィギュア好きと思われたのかペットボトルのオマケのお人形などをお土産に置いて行く人々のお陰で、今大先生の隣には、プロレスラーやたまごっち・・・そしてなぜか中華料理のフィギュアが並んでいます。
ああ・・・あたしもhanaiさんの会社に行きたい・・・。
(August 25, 2006 01:04:32)

hanai:

london prideさん、

イタリアやスペインのチームは人気ありますからね…。私の会社にもイタリヤやスペインのチームが好きな女性はかなりいますよ。
まあ、お互い歳の事を考えて、あまりむきにならずにサッカーを楽しみましょう（そんな事絶対できないんだけど…）。
(August 25, 2006 02:14:45)

hanai:

vivaorangeさん、

そうなんです。Chelseaサポの登場で4強が出揃いました。
しかし…、"Mさん"可愛いんですよね、これが。彼女の事を"攻める"のは私には難しすぎる。どうしよう？

は、は、そうですか、"師匠（大先生）"と中華のフィギュアが並んでるんですか…。
でも、中華のフィギュアって何？そんなの見たこと無いなぁ…。
(August 25, 2006 02:20:45)
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