November 29, 2005
コブラ（Cobra）
ボスはBlackburn戦後のインタビューで"彼"の事をこう語っています。
「相手にとっては本当に危険な存在だろうね。彼は"コブラ"のようだ。彼は相手のとどめを刺すゴールを決める事が出来る。彼に対して「いいポジションにいる選手にパスを出せ」と思う事があっても、その考えが間違いである事を彼は証明してしまうんだ…、素晴らしいゴールを決めてね。彼はどんな難しいポジションからでもゴールを挙げる確信を持っている。彼の仕上げ（とどめをを刺すゴール）は本当に素晴らしいよ。」
[コブラ（Cobra）]
"コブラ"は約250万ポンド（約5億円）でオランダのFeyenoord（フェイエノールド）から昨年（2004年）の夏、Arsenalにやって来た（因みに、現在の価値は約2,000万ポンド（約40億円））。
Feyenoordでの評判は、「ボールの扱いは上手いが…、性格破綻者、気分屋でムラがある、協調性が無くチームの和を乱す…」等々、"ボール扱いが上手い"以外はどれも悪いものばかり…。
欧州でも有数の犯罪都市、オランダのロッテルダムの下町で生れ育った"彼"。彼の悪い"評判"は、彼が生れ育った"環境"がダイレクトに、当時の彼の人格の表面に現れた結果かもしれない。
Arsenalが彼を獲得するらしいという噂が流れた時、随分否定的なニュースがマスコミを賑わせました。案の定、彼がArsenalに合流した直後に事件が起こりました。
"事件"は、彼がハイウエーで起こした事故のこと。
スピード狂である彼は、その日かなりの速度でハイウエーを飛ばしていたらしい。ハンドル操作を誤ったか何かで車はハイウエーを逸れ大破。しかし、彼は"大破"した車をそのまま放置して、さっさと家に帰ってしまったらしい。
事態を悪質と捉えたイギリスの警察は彼を"保護"し、取り調べをしました（飲酒運転、薬物使用の有無等）。この時、警察で"彼"の身元保証人になってくれたのが"師匠"Bergkamp（ベルカンプ）。
マスコミはこの"事件"を「やっぱり」という論調で大きく報道しました。
全く、そこらのガキが起こすような事件…。
そして昨夏の事件。
万事休すか…。
昨シーズン何とかチームの一員として機能し、その才能の片鱗を随所に見せ、やっとFeyenoordでの"悪評"を払拭できるんではないかと思った瞬間に起きた事件でした。
しかし、ボスとArsenalはそんな"彼"を相変わらずしっかり受け止め、擁護し、"彼"に"信頼"という言葉を示し続けました。
そして野生の"コブラ"は、やっと自分の居場所を見つけたようです。そこには自分と自分の"才能"を信じてくれるボスや仲間、そしてファンがいる。
悪童がひとたび"忠誠"を誓うと、その"忠誠心"は優等生の忠誠心よりもはるかに強く、揺るがないものである例が多くあります。"彼"がその典型的な"例"であって欲しいと思います。
「先発で起用されても、ベンチスタートでも問題は無いよ。」
「Wigan戦は70分プレーしたし、先週のThun戦では90分プレーした。私はまだ21歳なのに、ボスは私の事をよく使ってくれる。何も文句を言う理由なんか無いよ。」
「私はチームのために良いプレーをしなければならない。ゴールを決めるとか、良いパスを出すとか。この6，7試合、それが出来て本当に嬉しいよ。」
「ともかく、残り15分、20分、或いはもっと少ない時間からの出場でも全力を尽くす。その時間なら相手も疲れているだろうしね。自分の力を出せば結果を出せると思う。」
下は、"彼"とThierry Henryの今シーズンの数字を比較したものです（プレミア＋CL）。
■Thierry Henry
出場試合数 [11] （先発10+途中1)、ゴール [11]、シュート数 [37]、枠内シュート [21]
■Van Persie
出場試合数 [16] （先発8+途中8)、ゴール [8]、シュート数 [40]、枠内シュート [25]
数字の上でも、"彼"をThierry Henryのパートナー、そしてArsenalのストライカーと呼んでも良さそうです。
何故ボスが"彼"を「コブラ」と形容したのか分かりませんが、コブラの毒で有名なのがクレオパトラの自殺の場面。何でもコブラの毒は神経系に作用する毒であるため、苦しまずに死に至るらしい。
それでクレオパトラは自殺の手段にコブラを選び、自分の乳房を咬ませて自殺した（苦しまずに）と言われています。
"彼"の毒（ゴール）が、今まで以上に美しく、華麗で、相手を苦しませずに"殺し（負かし）"てくれるよう、彼を応援し、見守って行きましょう！
[Kill Them Softly with his Goals.]
Arsenal Number 7/hanai
Comments
AKI:
身元保証人がBergkamp…さすが師匠だわ〜。それはともかく、昨夏の事件ではたぶん本人もかなりの精神的ダメージを受けたはず。あそこで苦しみ、そして乗り切ったからこそ、今があるような気がします。
もっともっと成長していってくれることを期待します。
もっともっと成長していってくれることを期待します。
(November 29, 2005 17:38:23)
london pride:
3年前からフェイエノールトでは期待されていたのだけれど、ヴァンマルバイクの指導に従わずなかなかゲームにも出られず、素行ばかりが取り沙汰される所謂札付きという感じだったのが、良くぞここまで、という感慨を持たざるを得ないです。まあイギリスでもあとちょっとで重犯罪者になりかかったのだから、急に人格的成長があったとも思えませんが、もはやアーセナルにとって欠くべからざる存在なのですから自重して欲しい限りです。でもこれだけ落着いてきたのはヴェンゲルやベルカンプの薫陶があったのかな？「サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にする」という言葉を信じたいですね。
(November 30, 2005 01:41:51)
HIRO:
週末のRobinにはとても頼りがいがありました。あのゴールには驚愕ものでした。なにか’吹っ切れた’ように覚醒したような、そんな感じがします。これからがとても楽しみですね^^
(November 30, 2005 01:47:45)
hanai:
AKIさん、
"彼"は一生Bergkampに頭が上がらないでしょうね。まさしく師弟関係。
苦しんだのは"彼"だけでなく、我々も結構苦しみましたよね。"あの頃"、会社から帰り"彼"の新しいニュースが何かないかどうかWebでチェックばかりしていました。
"彼"が苦しんだ分、そして我々が苦しんだ分、しっかり成長してもらいましょう！
"彼"は一生Bergkampに頭が上がらないでしょうね。まさしく師弟関係。
苦しんだのは"彼"だけでなく、我々も結構苦しみましたよね。"あの頃"、会社から帰り"彼"の新しいニュースが何かないかどうかWebでチェックばかりしていました。
"彼"が苦しんだ分、そして我々が苦しんだ分、しっかり成長してもらいましょう！
(November 30, 2005 22:46:00)
hanai:
london prideさん、
"彼"の競技者としてのレベルの向上、また人間としてのレベルの向上は、間違いなくArsenalという環境がもたらしたものだと思います。ヴァン・バステン（オランダ代表監督）もそのあたりの事（Wenger監督の手腕）を高く評価していました。
また、ヴァン・バステンは「私は裁判官でない！」と言い放ち、オランダのマスコミがブーイングする中、"彼"を代表に招集しました（カッコイイ！）。
良いクラブ監督とチームメイト、良い代表監督に恵まれ、今"彼"はもの凄く理想的な環境下でサッカーに集中出来ていると思います。
これでブレークしなかったら、私が許しません！は、は！
"彼"の競技者としてのレベルの向上、また人間としてのレベルの向上は、間違いなくArsenalという環境がもたらしたものだと思います。ヴァン・バステン（オランダ代表監督）もそのあたりの事（Wenger監督の手腕）を高く評価していました。
また、ヴァン・バステンは「私は裁判官でない！」と言い放ち、オランダのマスコミがブーイングする中、"彼"を代表に招集しました（カッコイイ！）。
良いクラブ監督とチームメイト、良い代表監督に恵まれ、今"彼"はもの凄く理想的な環境下でサッカーに集中出来ていると思います。
これでブレークしなかったら、私が許しません！は、は！
(November 30, 2005 23:01:45)
hanai:
HIROさん、
そうです、本当に楽しみです。
Thierry Henryとのコンビネーションはこれからどんなプレーを見せてくれるんだろう…、とか、ReyesやQuincyもうかうかしていられないな…、とか…。
"彼"に夢を見せてもらいましょう！
そうです、本当に楽しみです。
Thierry Henryとのコンビネーションはこれからどんなプレーを見せてくれるんだろう…、とか、ReyesやQuincyもうかうかしていられないな…、とか…。
"彼"に夢を見せてもらいましょう！
(November 30, 2005 23:05:18)
