March 20, 2006
『忘れ物を取りにHighburyへ』 第六日目（Liverpool戦）背中の名前はHenry?それともFabregas? （中編）
CescからThierry Henryへのスルーパス。そのパスは"流れ星"が軌道を描く様にグリーンのピッチをThierry Henryに向かってスッとのびて行く。
今日はHighbury初めての2階席（Upper）、しかもメインスタンド側（East）。私の右前には記者団が陣取っている。ピッチ上で起こっている事全てが手に取るように分かる。試合観戦には絶好のロケーションだ。
Thierry Henryはこんな美しいパスをもらって台無しにする様な"男"で無い。"流れ星"の軌道をを"ひらり"と捕まえ、優雅にLiverpoolゴール前に侵入する。左30度。この男が最も優雅な舞を見せる角度・・・。
ファンは知っている。この角度でThierry Henryは絶対に外さないと・・・。皆その瞬間を見ようと一斉に立ち上がる。
いつもだったら体を少し開いてタイミングを取りながら左足インサイドでショート・・・って場面だが、今日は余計なことはしない。"流れ星"の美しさを損なうことなく、その"流れ"に乗ったまま右足を小さく振り抜き確実にシュートをゴール右隅に沈める。美しい・・・。
「Woooooo!!」
左隣のオヤジがThierry HenryのVictory Runを目で追いながら私の前に右手を差し出す。その右手にタッチして、右隣のオヤジとハグをする（何で若い女が隣に居ないんだ・・・）。
一通りのセレモニーの後、私は妻の姿を探す。
今日は日曜日。
試合前、礼拝のためトッテナムの教会に一緒に出かけたが、キックオフの時間が迫っていたため私は礼拝をせず一足先にHighburyに・・・。彼女は礼拝をすませて来ることになっていた。
しかも今日の席は二人続き連番（隣同士）でなく、お互い座る場所は離れていた。
「未だ来てないのか・・・。こんな美味しいシーン見逃すなんて・・・。」
ちょうどこのシーンの頃、彼女はスタジアムの近くに居たらしい。
何でも、礼拝が終わりトッテナムの駅から地下鉄に乗ろうとしたが、突然地下鉄の駅が閉鎖されたため隣の駅まで走ったとか・・・。
全く・・・。ロンドンでそんなのってあり？
妻は居ないが試合は続く・・・。
試合は完全にArsenalペース。小気味良い攻撃が続く・・・が追加点がなかなか挙げられない。
前半冷やりとしたのはToureの怪我。凄まじいスライディングで相手を"えぐ"ったが勢いあまって自分の足を強打したようだ。
なかなか立ち上がらないToure。Toureは鉄人だ。こんなに長く治療を受けているToureは珍しい。
私の周りの人達もざわめき出す。
右隣のオヤジが周りの人に聞く。
「今日DFって誰が入ってるんだ？」
この辺りの場所に座っている人達は殆どがシーズンチケットを持っているようだ。皆顔馴染みのようで、試合が始まる前に握手やハグで挨拶をしていた。
「Song（ソング）じゃなかったかな・・・。」
前に座っているオヤジが振り向いて答える。
「Songか・・・。Songじゃ駄目だな・・・。」
私は、「Gilberto（ジウベルト）がセンターバックに入り、Gilbertoの所にSongが入ると思う。」と言おうと思ったけど、何だか差し出がましいようだったので止めた。
シーズンチケットホルダーの強物オヤジに東洋からやってきたオヤジが"意見"するなんて・・・。危険だ。やめとこう・・・。
（Toureはピッチサイドで治療を受けた後にピッチに戻る）
前半が終了。うん、調子いいぞ！
Toureが怪我したあたりに妻も無事合流。
CL戦の後はいつも調子悪いけど、今日はこのまま行けそうだ！
後編に続く。
Arsenal Number 7/hanai
[座った席の右前の記者席]
Comments
No comments yet
