April 27, 2006
PK秘話
CL準決勝 2nd Leg. 残り時間数分。
両チームとも得点は無い。
あと数分でパリ行きのチケットが我々の目の前に・・・。
しかしサッカーは最後まで分からない。
残り数分のところで、この日の試合の最大の山場が・・・。Villareal（ビジャレアル）のPK。
VillarealのPKキッカーはエースのRequelme（リケルメ）。
ＴＶ画面にRequelmeの顔が大写しになる。顔は緊張で強張っている。
ここでPKを決められてもAggregate Score（1st&2nd Leg. Total score）は1-1。負けるわけじゃない。
しかし、VillarealはここでPKを決めなければ、あと数分で負けが決まってしまう。
Requelmeが緊張するのも無理はない。
今日の試合、Requelmeは何度かセットプレーのキックを蹴っていたが精度が良くなかった。ここは確実にPKを蹴ってくるだろう。
彼は右利き。右のインステップで右側（レーマンの左側）を確実に狙うキックを蹴ってくる。そうに違いない。
レーマン、左だ、左・・・。
妻は隣でクッションに顔をうずめている。この場面を正視できない・・・。
ピッチ上でもいろいろな思惑が交差していたようだ。
まずはThierry Henryの言葉を聞いてみよう。
「Requelmeが重要なPKを蹴るときは右側の中央（高さ）を狙うのを何回か見た事があった。まず、キーパーが飛ぶのを待って、キーパーが飛ぶ方向によって少しボールに角度をつけるんだ。」
「だからイェンス（レーマンのFirst Name）に言ったんだ、Requelmeはプレッシャーがかかる場面ではPKを右側中央に蹴るってね。」
一方のレーマン。
「Thierry HenryはPKの前にいろいろとアドバイスしてくれたけど、そのアドバイスには従わなかったんだ。」
「２〜３日前に、もしReqelmeがPKを蹴る事になったらどちら側に蹴るだろうと考えたんだ。多分、左側に蹴るだろうと予想したんだ。彼の仕草、体つきから、彼は左側に蹴ってくるとね。」
「PKの時、Requelmeに声をかけたんだ。彼に何を言ったのかは言えないけどね。でも、PKを蹴る前の彼の深呼吸は長すぎたね（相当緊張しているとの意味だと思う）。」
Lehmannはゴールの中央で両手を広げじっとRequelmeを見つめる。視線をRequelmeの目に、その一点に集中している。
Requelmeは視線を落とし、Lehmannからの視線を避ける。
Requelmeが助走を始める・・・。
左だ！左側の中央（高さ）！
「よしっ、レーマン、よしっ！、よしっ！」
目頭が熱くなる。
「えっ、止めた？」
隣で妻が叫ぶ。
レーマンは２〜３日前に自分がイメージした通りに左側に飛び、見事にPKを阻止。美しすぎるジャンプ・・・。
一方のReqelmeは突然別の惑星からサッカー場に舞い降りた異性人のようにゴール前に立ち尽くす。
勝負が決まった。
Arsenalは私が今まで見た中で一番ひどい状態だった（Lehmann以外は）。
よく勝てたな・・・。本当にラッキーだった。
これでパリ行きが決まった。
そして今夜相手が決まる。
決勝まであと３週間。
それまでにチームの状態をしっかり立て直し、決勝で悔いの無い戦いをしましょう！
Arsenal Number 7/hanai
[I love you, Lehmann!!]
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