May 28, 2006
ArsenalがPires（ピレス）にひれ伏した日
親愛なるボビー様、
昨日『Farewell, my dear number 7.』と書いてお別れを申し上げたばかりですが、もう一度お別れを言いたくて筆をとらせて頂きます。
"ボビー"とピレス様のニックネームで呼ばせていただくことをお許し下さい。
最初に6年間本当にありがとうございました。
ボスが言っているように、ボビー様の印象に残るプレーを1つ2つ挙げるのは非常に難しいことです。それは多分、ボスが完成させたWenger's Arsenalのイメージの少なくない一角をボビー様が担っていたからだと思います。
ボールを奪い一気に前に出る、速く正確なパス、二列目からの飛び出し、ゴール前に襲いかかるFWとMF、一次攻撃、二次攻撃、三次攻撃・・・。
右でも左でも同じフォームで蹴る事ができる魔法の様な足技。1シーズン平均15点を挙げる決定力。
素晴らしいセットアップ、アシスト・・・。
そして"ここぞ"という時にゴール前に詰める狡猾さ。
Wenger's Arsenalにとって、ボビー様は無くてはならない存在でした。
2001/02シーズンはいろいろな意味で特に印象に残るシーズンでしたね。
世界最高の左MFの称号に相応しい活躍でした。
ドリブル、パス、シュート、ポジショニング・・・、完全なFootballerとしての"技"の数々。ボビー様が颯爽とビッチを駆け抜ける姿は我々Arsenalファンにとって本当に頼もしい存在でした。
そして悪夢のような"怪我"が起こったのもこのシーズンでしたね。
あれはシーズン終盤、FA Cup準々決勝のNewCastle戦でしたね。確か再試合だったと思います。
この日のボビー様はいつもにも増して絶好調でした。先制弾を決め、2点目も左サイドをブッチギリで抜け出しアシスト。そしてあの悪夢・・・。
相手ＤＦのタックルをジャンプしてかわした後の着地・・・。じん帯断絶・・・。
担架に乗せられて運び出されるボビー・・・。
まだプレミアの優勝もＦＡ Cupの優勝も決まってないのに・・・。シーズンが終わったらＷ杯・・・。
おー、神様、ボビーを、ボビーをお助けください。
ボビー様、私は本当に、本当にあなたのことを心配しました。
そして、このシーズンの最終戦、私は一生忘れられない光景を目にしました。
前節のマンＵ戦に勝ち（オールド・トラッフォードで勝った！気持ちよかった！
確かウィトールの一発だったかなぁ・・・）優勝を決め、最終戦はHighburyでプレミアの表彰式。
ボビー様は上は背番号７のユニフォーム、下は黒のスラックス、びっこでこの表彰式に。
その時、私は信じられない光景を目にしました。
プレミアの優勝カップを掲げるあなたの周りでArsenalの選手全員がひざまずき、両手を上げて、"王様"にひれ伏すポーズをとったのです。
優勝カップを掲げるあなた。
その前でひれ伏すArsenalの選手。
号泣しました。
声を上げて号泣しました。
あんなに感動したシーンを見たことがありませんでした。
私だけでなく、全てのArsenalファンが感動したと思います。
Arsenalがボビー様に"ひれ伏した日"。
私は一生忘れません。あの日の感動を・・・。
あれから4年が経ちました。
あの怪我の後、ボビー様のプレーは少し威圧感を失いましたが、その存在感はやっぱりArssenalに無くてはならない"エスプリ"でした。
ボビー様、本当に寂しいです。
私だけでなく、他のArsenalファンも同じく寂しい思いをしていると思います。
最後に、私達と同様にやっぱり寂しい思いをしていると思うあなたの大親友アンリさんが、先日のＣＬ決勝前にボビー様の事についてコメントしていました。
その言葉をこの手紙の締めくくりにしたいと思います。
さようなら、ボビー様、またどこかで会いましょう。
ご検討を心よりお祈りいたします。
= Thierry Henry =
「ピレスはいつも楽しそうに微笑んでいる、典型的なフランス人です。彼はボールコントロールが上手く、重要な場面でゴールを入れられる選手です。
サッカー選手としても、一人の人間としても素晴らしい人物ですよ。」
Arsenal Number 7/hanai
[Arsenalがピレスにひれ伏した日]
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