September 20, 2006

"野次"って何のため？


その昔、グランパス・エイトに平野という選手がいた。
左利きの選手でめっぽう足が速く、左足から繰り出されるシュートはもの凄い弾道で相手ゴールを襲った。そう、タイプ的にはReyes（レジェス）のような選手だった。

ボスがグランパス・エイトの監督に就任し、平野はFWから左ウイングにコンバートされた。
左ウイングにコンバートされた平野は、左サイドを颯爽と駆け抜けて相手DFを切り裂き、左サイドでプレーするのを好んだピクシー（ストイコビッチ）に思う存分プレーするスペースを与えた。

しかし、平野には足りないものがあった。
次のプレーを考える力がなかった。
何というか…、ただただ一直線だった。


私はこの頃のグランパス・エイトの試合には必ず足を運んでいた。
多分、大人しい観客に属するほうだったと思う。
サポータと一緒に歌を歌うわけでもない、どちらかというとじっくり黙って試合を観ていたいタイプの人間だった（今でもグランパスの試合を観るときは黙っている事が多い）。

しかし、どういう訳か平野のプレーには敏感に反応した。
大声を上げ、彼のプレーを非難したり褒めたりしていた。
今でも何故だか分からない…。多分、彼の事が大好きだったんだろう（選手として）。

そんなこんなで、私は特定の相手選手をスタンドで"野次"った経験がない。
（相手選手の事を単に知らないという理由もあるかもしれないが…）

海外でサッカーを観戦する時でも（数は少ないが）、相手チームがよっぽど汚いファールでもしない限り、"野次"る対象はArsenalの選手に対しての方が圧倒的に多い。
"野次"るといっても、声を上げて叫んでいるのは「そこだ！」とか「何やっとんだ！」とか、「早く走れ！」とか、"野次"というレベルでなく、"掛け声"とでもいうんだろうか…（もちろん日本語で叫んでいる）。


何でこんな事を長々と書いているかというと…。
先日のマンU戦でLehmann（レーマン）が前半終了間際にペットボトルをゴール裏のマンUサポめがけて蹴り込み、そのペットボトルが子供に当たったため（怪我は無かったらしい）、一緒に観戦していた父親が警察に届け出を行い、それを受け警察は調査に乗り出したらしい。

・・・。

ペットボトルだろうが、何だろうが、Lehmannの行為は許されるものでない。
全く、Lehmann…、何で…。

しかし、Lehmannも30を過ぎた大人だ。
何もないのにペットボトルをマンUサポに対して蹴り込むことなどしないだろう…。
どうやら彼は、試合中にゴール裏のマンUサポ達から『ナチ』と野次られてたらしい。
彼はドイツ人。『ナチ』と野次られ黙っていられなかったんだろう…。


もう一つ"野次"に関するニュース。

Arsenalサポの間でCole（コール）を"野次"る歌が話題になっているらしい。
それは『Coleはホモだ』という歌だそうで、彼が先月出場したリザーブの試合（Arsenalの選手として出場した）でも実際に歌われたらしい。

私はColeの事が嫌いだ。
でも、そんな歌は絶対に歌いたくない。


相手がいなければサッカーの試合はできないし、相手が憎くてサッカーの試合をしているわけでもない。
相手が強ければ知恵を絞って勝つための戦いをする。相手が自分達より下のレベルと思われる相手なら、絶対に取りこぼしがないよう磐石の体制で戦いに臨む。力が拮抗していれば、90分集中を切らさず、ミスのない戦いをする。
そして、"好運の女神"の気まぐれに一喜一憂する。
サッカー（フットボール）とはそういうものだと思っている。
そこには、『ナチ』や『ホモ』の大合唱は無い。


自分を奮い立たせなければならない場面に出くわした時、普通人は自分自身を叱咤激励する。
（頑張れとか、ここで負けるなとか、何とか踏ん張ろうとか…）
『ナチ』や『ホモ』の類で自分達を奮い立たせる事があるなら、それは第三者からの"危険"なメッセージと思って間違いない。それは歴史が証明している。


Lehmannの馬鹿げた行為。
Lehmannにそんな"行為"をさせた"野次"。
Coleの歌。

サッカーが変な方向に行かなければいいなぁ…。


Arsenal Number 7/hanai
Posted by hanai at 02:35:55 | from category: 　Arsenal | TrackBacks
Comments

AKI:

頭にくるのはもちろん分かるけどLehmann、Fabregas(19歳)はコイン投げられてもペットボトル投げられても決して振り向かず、全く相手にしてなかったゾ。まったくどっちが大人なんだか…。

2年ほど前だったかな、Englandの試合だったと思いますが、相手は確かギリシャで、TVで観てても分かるくらいのひどい人種差別的野次が観客席からColeらに向かって行われてました。あれ観たときは、もう怒りを通り越して悲しいのかなんなのか、血の気がひいていったのを覚えてます。
楽しく笑って済ませられる野次なら大歓迎なんですけどネ(そういうのは"野次"とは言わないのか〜笑)。
(September 20, 2006 19:55:57)

hanai:

AKIさん、

そうですか、Fabさすがですね。本当にどちらが大人かわかんないなぁ…。

あまり変な"野次"と関わらずに、これからも試合観戦できればいいですね！
(September 22, 2006 02:02:23)
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